FPの仕事は意外と制限だらけ?法律で決められた境界線

FPって何でも相談できる「お金の専門家」だと思ってませんか?実はそうでもないんです。資格を持ってるからって、あらゆる業務ができるわけじゃない。税金のこと、保険のこと、投資のこと。一見するとFPの守備範囲に見えても、実際には他の専門資格がないと踏み込めない領域がたくさんあります。

じゃあ具体的にどこまでできて、どこからがNGなのか。この線引きを知らないと、せっかくFPに相談しても期待外れに終わったり、逆にFP側が法律違反をしてしまったりする危険もある。今回は、意外と知られていないFPの業務範囲について整理していきます。

FP資格は「独占業務」じゃない

まず押さえておきたいのが、FP資格そのものには「独占業務」がないということ。医師や弁護士みたいに「この仕事はこの資格がないとできません」って決まってるわけじゃないんです。

つまり極端な話、資格がなくてもライフプランを作ったりお金の相談に乗ったりすることは、法律上は可能。「ファイナンシャルプランナー」という肩書きも、資格がなくても名乗れてしまう。だからこそFP資格を持ってる人は、信頼性を示すためにも資格を取得するわけです。

日本FP協会によれば、FPは家計管理から老後の生活設計、教育資金、保険、相続まで幅広い相談に対応する存在。でもそれはあくまで「コーディネート役」としての話であって、すべての業務を自分で完結できるわけじゃないんです。

法律で引かれた「やっちゃいけないライン」

FPが業務を行う上で、絶対に超えちゃいけないラインがいくつかあります。それが各種法律で定められた他の専門家の独占業務。ここを踏み越えると、善意でやったつもりでも法律違反になってしまいます。

税理士法:税金の具体的な計算はNG

税理士の資格を持ってないFPは、個別具体的な税務相談や確定申告書の作成ができません。これは有償でも無償でもダメ。たとえ相談者に頼まれても、「それは税理士さんに相談してください」と言うしかないんです。

ただし一般的な税制の説明はOK。「医療費控除ってこういう制度ですよ」とか「住宅ローン控除の仕組みはこうですよ」っていう説明なら問題ありません。仮定の金額を使ったシミュレーションも可能です。

境界線は「個別具体的かどうか」。あなたの実際の年収や経費を使って「あなたの確定申告書はこう書きます」と言ったらアウト。でも「年収500万円の人が医療費50万円払ったら、だいたいこれくらい控除されますよ」という説明ならセーフです。

保険業法:商品の販売・勧誘には登録が必要

保険の募集や勧誘を行うには、内閣総理大臣の登録を受けた保険募集人である必要があります。FP資格だけでは保険商品を売ることはできない。

とはいえ、保険商品の一般的な仕組みの説明や、「あなたに必要な保障額はこれくらいですよ」という計算はできます。「医療保険ってこういう商品ですよ」と説明するのはOKだけど、「この保険に入りましょう」と勧誘したらNG、という線引きですね。

金融商品取引法:具体的な投資助言は登録制

株や投資信託などの金融商品について、具体的な銘柄を推奨したり、顧客の資産を運用したりする行為は、金融商品取引業者としての登録が必要です。

「この株を買いなさい」「あの投資信託に投資しましょう」といった具体的な助言は、投資顧問契約を結んだうえで金融商品取引業者として登録してないとできません。一方で、「株式投資の仕組みはこうです」とか「NISAってこういう制度ですよ」という一般的な説明はFPでも問題なくできます。

その他の制限事項

他にもいろいろあります。弁護士法に抵触するから法律相談や法的文書の作成はNG。社会保険労務士法があるから年金の申請書類の作成や手続き代行もダメ。不動産の登記は司法書士の仕事だし、不動産の具体的な価格評価も別の資格が必要。

法律 FPができること FPができないこと
税理士法 一般的な税制の説明、仮定の事例での計算 個別具体的な税務相談、確定申告書の作成
保険業法 保険商品の一般的な説明、必要保障額の計算 保険商品の募集・勧誘(募集人登録なしの場合)
金融商品取引法 金融商品の仕組みの説明、一般的な経済情勢の解説 具体的な銘柄の推奨、投資助言(登録なしの場合)
弁護士法 一般的な法律制度の説明 個別の法律相談、法的文書の作成

じゃあFPは何ができるのか

こうやって並べると「FPって何もできないじゃん」って思うかもしれません。でも実は、FPにしかできない重要な役割があるんです。

総合的なライフプランの設計

税理士は税金の専門家、保険屋は保険の専門家。でもその人の人生全体を見渡して、お金の計画を総合的に作れる専門家って意外といないんです。それがFPの真骨頂。

結婚、出産、住宅購入、子どもの教育、老後の生活。こういったライフイベントを時系列で整理して、それぞれにいくらかかるのか、どう準備すればいいのかを考える。キャッシュフロー表やライフプラン表を作成して、将来のお金の流れを見える化するのがFPの本来の仕事です。

各専門家への橋渡し役

FPのもう一つの役割が「ハブ機能」。相談を受けて、必要に応じて税理士や弁護士、社労士といった各専門家につないでいく。

たとえば相続の相談を受けたとき。FPは相続税の一般的な仕組みを説明し、ライフプラン全体の中での相続対策を考える。でも具体的な申告書の作成は税理士に、遺言書の作成は弁護士に依頼する。この全体像を把握して適切な専門家に振り分けるのがFPの仕事なんです。

「一般論」の説明と情報提供

個別具体的な助言はできなくても、一般的な知識を提供することには大きな価値があります。税金の仕組み、保険の種類、投資の基本。こういった基礎知識を丁寧に説明することで、相談者が自分で判断するための土台を作れる。

仮定の事例を使ったシミュレーションもできます。「年収〇〇万円で住宅ローン××万円借りたら、月々の返済はこれくらいになります」といった試算は、具体的な契約書作成じゃないからOK。こういう情報があるだけで、相談者の意思決定はずっとスムーズになります。

ダブルライセンスで広がる可能性

FP単独だと制約が多い分、他の資格と組み合わせることで業務の幅が一気に広がります。これが「ダブルライセンス」の戦略。

税理士×FPで税務とライフプランを統合

税理士資格も持ってれば、確定申告の代行から具体的な節税アドバイスまで可能になります。しかもFPの知識があるから、単なる税務処理じゃなくて、その人の人生設計全体を見据えた税務戦略が立てられる。

保険募集人登録で商品提案まで

保険募集人の登録をしておけば、ライフプランを作ったうえで具体的な保険商品の提案や契約まで一気通貫でできるようになります。ただしここは注意が必要で、「相談業務」なのか「営業活動」なのか、線引きが曖昧になりがちなポイントでもあります。

証券外務員で投資商品の販売も

証券外務員の資格があれば、株式や投資信託などの金融商品を販売できます。資産運用のアドバイスと商品販売をセットで提供できるわけです。

  • FP + 税理士:税務相談から人生設計まで一貫対応
  • FP + 保険募集人:ライフプラン作成と保険提案をセット化
  • FP + 証券外務員:資産運用の相談と商品販売を統合
  • FP + 社労士:年金・社会保険の手続きまで対応可能

相談する側が知っておくべきこと

FPに相談する立場から見ると、この業務範囲の理解は結構重要です。期待値を正しく設定できるかどうかで、相談の満足度が変わってきますから。

「できない」と言われても当たり前

FPに相談して「それは税理士さんに聞いてください」と言われても、それは決して冷たい対応じゃありません。法律を守ってるだけ。むしろ法律を知らずに踏み込んでくるFPのほうが危ないんです。

総合窓口として活用する

FPを「すべてを解決してくれる人」じゃなくて、「適切な専門家につないでくれるハブ」として考えると使いやすくなります。まずFPに相談して、必要に応じて税理士や弁護士を紹介してもらう。このほうが、最初から各専門家をバラバラに訪ねるより効率的です。

ダブルライセンスFPを探すのも手

もし税務相談も含めてワンストップで対応してほしいなら、税理士資格も持ってるFPを探すのが近道。ただしダブルライセンスだからといって必ずしも優秀とは限らないので、実績や相談実績もちゃんと確認しましょう。

FPの業務範囲って、思ったより狭いようで、実は総合調整役としての広がりがある。できないことは確かに多いけど、だからこそ各専門家と連携しながら、相談者の人生全体を見渡せる存在になれるんです。この特性を理解したうえで、自分に合った使い方を見つけてください。