FP(ファイナンシャルプランナー)とは?

「ファイナンシャルプランナー」という名前を耳にしたことはあっても、実際どういう資格なのか、どんな知識が求められるのか、ピンとこない人も多いはず。実は、この資格、金融や税金、不動産、保険といった私たちの生活に密着したお金周りのことを総合的に学べる資格なんです。

企業での活用はもちろん、自分や家族の将来設計にも役立ちますし、取得すれば独立開業の道だって開けてきます。そういった意味で、キャリアアップにも人生設計にも使えるのがFPの魅力といえるでしょう。

FPって何をする人?資格の概要と役割

FPは、日本FP協会によれば「家計のホームドクター」と呼ばれるお金の専門家のことを指します。

住宅ローンの相談、老後の資金計画、子どもの教育費の準備、保険の見直し、相続対策など、生活に関わる幅広いお金の悩みに対してアドバイスや提案を行う職業です。

FPが扱う6つの専門分野

FPには幅広い知識が必要で、試験では主に以下の6分野から出題されます。どれも生活に直結する内容ばかりで、実用性の高さが特徴といえるでしょう。

  • ライフプランニングと資金計画:将来の人生設計や社会保険、年金など
  • 金融資産運用:株式や投資信託といった資産運用の知識
  • タックスプランニング:所得税や住民税などの税金の仕組み
  • リスク管理:生命保険や損害保険の活用方法
  • 不動産:不動産取引や税金、有効活用の方法
  • 相続・事業承継:相続税や贈与税、事業の承継対策

国家資格と民間資格の2種類がある

FP資格には大きく分けて2つのタイプが存在します。

ひとつは「FP技能士」と呼ばれる国家資格、もうひとつは「AFP」「CFP」といった民間資格。国家資格は日本FP協会や金融財政事情研究会が実施する技能検定に合格することで取得でき、3級から1級までの等級があります。一方の民間資格は資格更新制度があり、継続的に知識をアップデートしていくことが求められるのが特徴です。

どうやって取得する?FP資格の取得ルート

FPの資格には複数の取得ルートが用意されていて、自分のレベルや目的に応じて選択できます。入門編の3級から始めるのが一般的ですが、条件を満たせばいきなり2級にチャレンジすることも可能です。

3級FP技能士:最初の一歩に最適

3級は受験資格がなく、誰でも受けられる入門資格です。ファイナンシャル・プランニングの基礎的な知識を問う内容で、初学者でもしっかり勉強すれば合格できる難易度に設定されています。

学科試験と実技試験の両方に合格する必要がありますが、どちらか一方だけ合格した場合も一部合格として認められ、翌々年度末までなら合格した方の試験が免除される仕組みになっています。

2級FP技能士:実務レベルの知識を証明

2級の受験には条件があり、3級合格者、FP業務の実務経験2年以上、または認定研修の修了者などが対象です。この級になると、より実務に即した内容になり、企業での評価も高まります。

また、2級に合格してAFP認定研修を修了すれば、民間資格のAFPとして登録することもできます。

1級FP技能士とCFP:最上位資格

1級は国内FP資格の頂点で、難易度も高く専門性の高い知識が求められます。一方のCFPは国際資格としても認められている最高峰の資格で、2年ごとに30単位の継続教育が義務づけられています。

どちらも高い信頼性があり、独立開業やキャリアアップの強力な武器になるでしょう。

試験の難易度と合格率はどれくらい?

気になる難易度ですが、級によって大きく異なります。それぞれのレベル感を把握しておくと、学習計画も立てやすくなります。

3級の合格率と難易度

3級の合格率は学科・実技ともに70~80%程度と比較的高めで、初心者向けの資格として取り組みやすい水準です。学習時間の目安は80~150時間程度といわれており、数か月間コツコツ勉強すれば十分合格圏内に入れます。

金融や保険の業界で働いている人なら、もっと短期間で合格する人も珍しくありません。

2級は実務レベルの知識が必要

2級になると合格率は40~60%程度に下がり、より深い理解が求められます。学習時間は150~300時間が目安とされ、3級よりも範囲が広く複雑な計算問題も増えます。

ただ、しっかりと過去問を解いて傾向をつかめば、独学でも十分合格可能な難易度です。

1級・CFPは最難関レベル

1級やCFPは合格率が10%前後と非常に低く、高度な専門知識と実務経験が必要になります。CFPは6科目すべてに合格する必要があり、科目ごとの合格率は30~40%程度ですが、全科目一発合格となるとかなりハードルが高いです。

科目別に受験できるため、計画的に取り組めば合格への道は開けます。

資格 合格率の目安 難易度
3級FP技能士 70~80% 入門レベル
2級FP技能士 40~60% 実務レベル
1級FP技能士 10%前後 最高難度
CFP 30~40%(科目別) 最高難度

FP資格を取得するメリット

資格を取ったらどんな良いことがあるのか、ここが一番気になるところかもしれません。FP資格には仕事面でもプライベート面でも多くのメリットがあります。

キャリアアップと就職・転職での強み

金融機関や保険会社、不動産会社といった業界では、FP資格保持者が優遇されることが多いです。資格手当が支給される企業もあり、収入面でのプラスも期待できます。

また、未経験からの転職でも、資格があることで一定の知識を持っていることの証明になるため、採用において有利に働くことがあります。

自分や家族の人生設計に活かせる

FPの知識は、自分自身や家族の生活にも直接役立ちます。保険の見直しで無駄な保険料を削減したり、住宅ローンの選び方で数百万円の差が生まれたり、老後資金の計画を立てたりと、実生活で即座に活用できるのが大きな魅力です。

将来への漠然とした不安が具体的な数字で見えるようになり、安心感が得られるという声も多く聞かれます。

独立開業の可能性も広がる

高いレベルの資格を取得すれば、独立してFP事務所を開業することもできます。企業に所属せず、中立的な立場から顧客に最適な提案を行う独立系FPとして活躍する人も増えてきました。やりがいのある仕事として、長期的なキャリア形成にも適しています。

FP資格取得への第一歩を踏み出そう

FP資格は、お金に関する幅広い知識を体系的に学べる資格で、3級から1級、さらに民間資格のAFPやCFPまで、段階的にステップアップできる仕組みになっています。

難易度は級によって異なりますが、3級は初心者でも十分に狙える難易度ですし、2級以上になると実務での評価も高まります。

今日から始められる資格学習

キャリアアップだけでなく、自分の人生設計にも役立つ実用的な資格なので、興味がある人はまず3級からチャレンジしてみてはどうでしょうか。資格を取得すれば、仕事でも生活でも新しい可能性が広がっていくはずです。